私はテセアラベースにいる。色々あったが(ゼロスが何か最初行方不明になった。すぐに見つかった。
大した事じゃないので省略(オイ)私たちはもう、あと少しでレアバードを奪います。

「あ、レアバード発見!」
シルヴァラントベースで見たのと同じく、鳥に似たその空間すら越える乗り物は同じようにそこあった。

「エネルギーの充填はしてあるわね・・・」
リフィルがレアバードの横にある機械の数値を見て、うなずく。
うん、それは好都合だ。雷のマナは、まあ後で落ち着いて充填するとしますか。

「おお、らっき♪ では、早速いただきましょうか・・・」

飛んで火にいる夏の虫だな

あぎゃああああああっ!?

どっかで聞いたことのある声に、私はコンマ数秒で反応し、叫んだ。
青い髪の憎たらしい変態男と、その部下。

「ゆゆゆ、ユアン・・・とボータ!?」

「・・・ダサイ表現だねぇ」
いや、そーゆー問題じゃなくて!
突っ込みどころが違うだろ、ゼロス!!

「・・・ロイド、いい加減、お前とは決着をつけなければならんようだな」
何でそーなる。

「いいぜ。俺も飽き飽きしていたとこだ」


しゃきん
じゃき
すっ

各々が武器を構え、戦闘隊形に入る。あ、ユアンとボータの背後にはモブの皆さんが。
どーやら逃げられないように、道を塞いでるらしい。
大変ですね、下っ端は。

「・・・・あのー」
もしかして、レアバードぶん取って逃げるという選択肢は、私らの中には存在しないんでしょーか。

「サンダーブレード!!」
いきなりかっ!!

ユアンの雷撃は、ロイドに放たれた。その近くにいた私は、軽くびりっときた。あう、苦手なのに・・・。

「凍っちゃえ、レイジングミスト!!」
強烈な冷気の靄が、周囲の気温を急激に奪う。ぱきん、とユアンとボータの足を止める。

「アグリゲットシャープ!」
タイミングよく、リフィルが攻撃力を上げる法術を唱える。
身体が軽い。そして、今は好機だ!

「鷹爪蹴撃!」
リーガルの激しい蹴りがボータに襲い掛かる。ボータはその手に持った無骨な剣で受け止める!

「と、真空波斬!」
オマケで私も衝撃波を飛ばす! それは、ぴっとユアンの頬を掠めた。

小賢しい!
ユアンはまた呪文を唱える。

・・・ん? 何か、いつもより、詠唱が長くないか・・・?

っ!?
嫌な予感!ユアンの目の先は――もちろんロイド。

「綜雨しょ・・・!」
全員! 防御ぉおおっ!! いや、逃げろ!
私はユアンに攻撃を繰り出そうとしたロイドを引っつかみ、全力でその場から離れた。
そして、ゼクンドゥスは防御結界(?)を展開させた。その中に、何人かが非難する。もちろん、私も。

・・・インディグネイション!!

ワンテンポ遅れて、それは起こった。ユアンが唱えた呪文名なんて聞こえない。逃げるので精一杯だ。
地面に、雷のマナで描かれた紫色の丸い陣。その縁を辿るように魔力が収縮する。
それが陣の中心に集まり、光の玉を形成。
そして、それが地に落ちる。

ズドガアアアァァァァンッ!!!

あぶ、あぶ、危ねえなああ!
私はもう半泣きだ。あんなもん、直撃したら死ぬ。ぜってー動けなくなる!

「裂旋斧!」
そんな私の横を駆け抜け、プレセアが斧を振り下ろす。その一撃は、見事ボータを吹き飛ばし、倒した。

「俺さまのことも忘れるなよ!」
「行くぞ、ゼロス!」
ゼロスと、私に引っつかまれたロイドがユアンに向かって走る。

おら、空破衝!
「食らえ、空破衝!」
二つの直線の攻撃が、同時にユアンを貫く。まだ、攻撃は終わらない!
二人の声と、技が一つになる!!

衝破十文字!
十字を描いた衝撃波は、ユアンの膝を地面に屈せるのに充分な威力を持っていた。
そして、息荒く何かを驚いたように早口で呟く。

「バカな・・・私が負けるとは・・・」
油断するからだよ。

「ロイド・・・まさか、お前のエクスフィアは本当に進化しているのか・・・?」
へ? どーゆー意味だ・・・って、そーいや忘れてたけど、私達ってエンジェルス計画がどんな内容で、どんな目的だったのか知らないんだよな。
知ってるのは、ロイドの母が被験者だという事。その首謀者が、五聖刃のクヴァルらしいということ。
「え? どういうことだ。俺のエクスフィアが・・・」
ロイドが詳しく聞きだそうと、訊ねようとした、その時。

ずううううぅぅぅんんっ

「!?」
激しい地鳴りが起きた。

「ななな、何よお!?」
「うわぁ! 地震!?」
私とジーニアスがふらふらとバランスを取りながら叫ぶ。

「何だ、この揺れは!」
ユアンも身体を何とか支えながら、ボータに向かって叫ぶ。
それはともかく!

「ロイド! 今のうちにレアバードを奪っちゃおうよ!」
「ああ!」
それを合図に、私達はレアバードに乗り込む。

「待て!」
待てといわれて待った有志は、今までおらん。
・・・いや、私はさすがに学校の先生にそう言われたら立ち止まるかも知んないけど。

あでゅー!
私は優男のよーに、前を向きながら背中越しに手でユアンとボータに挨拶をした。
さあって、神子様奪還、頑張りますよ!




―――――――――――――――――――




飛竜の巣は、オゼットの付近にあるだろう、と私は推測した。
全員が賛同してくれた。リフィル曰く、目撃情報がない以上、あれだけ巨大な生物が早々と見つからないわけがないという事は、近くにあるだろうという事らしい。

そして、そのカンは見事に当たった。

飛竜の巣は、空中に浮かぶ平べったいものだった。その中央部にいるのは、金髪の少女。
「コレット!」
その姿を見て、私は真っ先にコレットに駆け寄ろうとした、が。

ダメ、危ないっ!!
その悲痛な声と同時に、赤い波紋が広がった。毒々しい赤い光は、皆の体を蝕もうと地面に広がっていく。

「我々を喰らおうとするこの禍々しい光は・・・一体・・・」
リーガルが膝をつく。私も同じように、力が抜けていく・・・!?

「か・・・体が・・・動かないよ!」
「みんな!」
コレットは、平気みたいだ。ジーニアスが叫ぶ。

「コレットだ! コレットの体内のマナがボクたちの方に逆流してきてるんだよ!」
「あの魔方陣の影響だわ!」
リフィルが指を刺し、赤い光で構成された陣を指差す。

「コレット! そこから逃げるんだ!」
「ロイド・・・それが・・・」
じゃらり、とコレットの足には重い鎖があった。そして、コレットは申し訳ない顔になる。

「ごめんね、みんな。わたし、世界を救うこともみんなを助けることもできない」
「コレット・・・」
コレットが悪いわけじゃないのに、コレットは心底辛そうな顔になる。

「ふん、まさにその通りじゃ!!」
その甲高く耳障りな声は、突如現れた。私は叫んだ。

「ロディル!!」
そのロディルの出現に、誰より早く反応したのはプレセアだった。

「わたしを利用したこと、コレットさんをさらったこと、許せません・・・!!」
プレセアは、その無表情に近い顔に、それでも純粋な怒りを宿して、ロディルに重い身体を動かして斬りかかった。
が、それはあっさりと、簡単に切り裂かれ・・・再生した。ホログラム、幻だ。

「そんな出来損ないの神子などくれてやる。どうりでユグドラシルさまが放置しておくわけじゃ」
「出来損ないだと!?」
ロイドが力を吸い取られつつも、怒鳴った。

「そうじゃ。この罪深い神子では、我が魔導砲の肥やしにもならんわい」
ぎりぎりと、私は歯を食いしばった。こんなヤツに、こんなことを言われるなんて。
「世界も救えぬ。マーテル様にも同化せぬ。神子のせいで人質となり、挙句こうして仲間を危機に陥れる」
そして、その顔に完全な嘲弄を浮かべる。
「神子はまさに愚かなる罪人というわけですなぁ」

「・・・はっ、ここまで来ると、感心するわね・・・!!」
私は、歯を食いしばって、ロディルを睨んだ。身体から、力が抜けていく。流れていく。
それでも、私の怒りは、想いは、消えない。

「どいつも、こいつも・・・! 五聖刃は!責任転嫁が得意技なの!?」
私は、喉の奥から声を振り絞り、怒鳴りつけた。
「何が罪人よ!むしろ、コレットを褒めてやりたいわね・・・コレットはアンタみたいな馬鹿に協力できないらしいから」
顔を歪ませて、私は嘲りを浮かべる。
「全部全部、お前の力不足の情報不足じゃないさ! 自分の落ち度を他人のせいにしないでよね。そんなのアンタの馬鹿さ加減を強調するだけよ!!」
「・・・そうです、コレットさんに・・・ありもしない罪を擦り付けないで・・・!」
プレセアも、反論する。その声は、震えていた。怒りで。

「そうだ。罪を背負うのは私だけでいい」
リーガルが、重い何かを背負ったように、告げる。その目が覚悟の色の染まっていた。
「私と、そして愚劣な貴様こそが罪そのもの! 愚かなる者よ。私と共に地獄に落ちるがいい!」

「・・・リーガル、それは違うわ! この場で、最も愚劣な卑怯者は、あのロディルとか言うアホタレだけだから!」
私はビシッ! とロディルを指差す。それに、ロディルはまともに顔を怒りで歪ませた。
「わしが愚かだと?ふざけるでない。この劣悪種共が!」
ロディルはさっと何かに合図を送る。
コレットの顔色が、さあっと悪くなる。

皆、逃げて!
「わしの可愛い子供たちよ。劣悪種共を食い散らかすがいい!」
「ははん! 事実言われて腹立ってやんの、このジジイ!!」
言い返すが、すでにロディルの姿はなく、その立体映像は消えていた。
そして、空の果てから聞こえるような、甲高い鳴き声。

「どこがかわいいんだかっ・・・!!」
空から舞い降りたのは、ロディル曰く、可愛い子供である飛竜が3匹。まったく悪趣味だな!!

「ごめん、ごめんね、みんな・・・」
コレットが、泣きそうな声で、顔で言う。
違う、違うんだよ、コレット。

「わたし、本当に中途半端な神子だったよね。ロディルの言うとおり・・・罪深い神子なのかも」
・・・そんなのっ!!

「順序を取り違えたら、駄目です!」
私が何か叫ぼうとするが、コレットの耳に飛び込んだのは、プレセアの声。こんな必死な彼女は始めて見る。不謹慎にも、少し新鮮に感じてしまった。
プレセアは重い体を引きずって、一歩一歩とコレットに近づいていく。

「あなたは悪くない・・・」
重いはずの足を引きずり、斧を構える。その声から、彼女の思いが私に伝わってくる。
「悪いのは・・・神子に犠牲を強いる・・・・・・」
そして、プレセアは斧を振りかぶって・・・。

「仕組みです!」
がきいいんっ!!
コレットの鎖を、見事に断ち切った!




―――――――――――――――――――




よっしゃああ!!
私は高らかに喜んだ。こーなったらこっちのもんだ。
ストレスがたまっていたんだから、思う存分暴れさせてもらう。
特にちみっこいの! あんたにゃ、コレット奪われた恨みがある! ってなわけで。

「襲爪飛燕連脚!!」
大きく振り上げたナイフの先端から、雷が放たれる。そのリズムを壊さず、私は飛竜を蹴り上げる。
襲爪雷斬と、飛燕連脚の複合技だ。

「つぅ、固っ!」
脚がウロコにモロに当たって痺れる。おにょれ、爬虫類のくせに生意気な!(難癖)

「獅吼旋破!」
巨大な親(?)にロイドが獅子の雄叫びのような衝撃波を発した。
しかし、その巨体を倒す事は出来ない。だが、目が霞ませるくらいはできた。

「雷神剣!」
ゼロスの剣が光を帯び、飛竜を貫く!それに続くように、リフィルの呪文が完成する!

「光よ、レイ!!」
無差別の光の雨は、飛竜を永遠に眠らせるに充分だった。残った子飛竜は他に譲る。

「ピコレイン!」
コレットは戻っても相変わらずだ。大量のピコハンを文字通り、雨のように降らせる。

「双旋連斧!」
鋭い斬りが、二重の斬撃となって襲い掛かる!
それに飛竜は苦しげに甲高い声で叫んだ。

「凄龍昂!!」
リーガルの青い髪が、空になびく。対空攻撃であるそれは、飛竜のどてっ腹に叩き込まれ、飛竜は完全に絶命した。

残るは、巨大な飛竜である。

ジーニアスが、剣玉をしながら呪文を唱える。どうやら上級魔術らしい。
子を殺された飛竜は、目に見えて凶暴になった。こっちにブレスを吐こうとするが、邪魔はさせない!

「引っ込んでなさい、蒼破刃!」
青い衝撃波、魔神剣とは違うそれは、飛竜の目にクリーンヒット。
刹那、ジーニアスの魔法が唱えられる!

「滄溟たる波濤よ、戦渦となりて厄を飲み込め! ・・・タイダルウェイブ!!
蒼き濁流は、飛竜を飲み込んだ。それは凄まじい自然の暴力に似ていた。
どっからこんな大量の水が来るのやら。私は舌で唇を舐める。

!?」
ジーニアスが驚きの声を上げる。多分、みんなジーニアスと同じ表情だと思う。
けど、あの飛竜にトドメをささないといけない。まだ、死んでないから。

「何をしている! 戻れ!!」
叫んだのは、ゼクンドゥスだ。
ふと足元を見ると、ひび。
・・・壊れる、ここ?
でも、後戻りは出来ない。

「一足早く、飼い主さんより先に・・・」
私は抜刀の格好をしながら走る。足元のひび割れは段々大きくなっていった。
でも、私の走る速度の方が、まだ早い。

たんっ

私は地面を蹴り上げた。ぴしりぴしりと鳴るのは、崩壊の音。あんま聞こえのいいものじゃない。
私はニッ、と笑う。
「地獄の底にでも、逝ってきな!!」
そして、私は飛竜の脳天目掛けてナイフを突き刺した。




―――――――――――――――――――




数分後。
大活躍した私は褒められ・・・るわけがなく。
ゼクンドゥスとリフィルのダブルに、レアバードに乗りながらお説教されました(涙)

「まったく! 無茶ばっかりして!!」
「貴様のその頭はトマトか! 何を考えているっ!!」
「うううううううっ・・・・」
そ、そんな、二人して怒鳴らなくても・・・。

「おーい、ゼクンドゥス、の頭はトマトじゃないと思うぜ。赤くないし」
おお、ロイド。ありがとう、フォローになっていないフォローを。
少しは庇ってくれるのかい。おねーさんは嬉しいよ!

「貴様は引っ込んでろ!」
「ロイドは引っ込んでなさい!」
な、何でそんな息がぴったりなんだよ!

「そうだぜ、ちゃん。俺さま、寿命が縮んだぜぇ〜?」
「だ、だって・・・」
私はゼロスに反論しようとする。リフィルやゼクンドゥスならまだしも、ゼロスになら意見を聞いてもらえると想ったのだ。
だがしかし。

「だってじゃありません」
「でも・・・」
「でももない」

・・・・・・・・・・・・ぬがああああっ!!
私に、私には人間の言葉を喋る権利すらないのか!!

「まあまあ、姉さん・・・そ、そう、次! 次はどこへ行くの?」
ジーニアスがリフィルをいさめる。た、助かった・・・。
それに、お説教コンビはひとまず落ち着く。
そして、リフィルは言った。

「ひとまず、陸に向かいましょう。そこで話し合うわ」
そんなわけで、私達はコレットを見事奪還したのであった。
・・・あ、おかえりって言い逃したや。



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