・・・薄闇の中、私はそこにいた。

ああ、これは夢だ、と自覚するのに時間はさほどかからなかった。
まるで、まどろんでいるような、形容しがたい雰囲気の中、私はそこにいた。
映画に出てくるような、冷凍睡眠装置――コールドスリープ――のカプセルに入ってると言うのが適切だろう。
私は外が見える窓を叩き叫んでいた。おかしな事に自分の声なのだが、聞こえない。そして、叫んでいる相手の声さえも。砂嵐のテレビを見ている気分だ。
さらにおかしな事に、私は「私」ではなかった。暗いので良くわからないが、腰よりも長いさらさらの髪の毛の感触。それは明らかに私のものではなかった。何よりも、喉から発せられる、わずかながら聞こえる声は聞き覚えのない男の声なのだ。
私は窓を叩いた。もう、この中から出る事はできない。窓の向こうには人がいる。おびただしいまでの、人。
それ全ては息絶えていることに気付き、悪寒が、恐怖が背に走る。
そしてカプセルの中を覗き込むように一人。
背後では、まだ息のある人々がうごめいた。女性の顔は見えない。影がかかっている。

「なぜだ・・・っ!? ・・・は・・・にを望み・・・・・・い時を・・・・という・・・のだ!?」

声が嗄れるほどに、痛いまでに私は叫んだ。カプセルの向こうの女性は、申し訳なさそうに微笑んだ。
それが、最後の笑みだと痛感して。

「申し訳・・・・りません、・・・・・様・・・・ですが・・・は・・・・・」
「――――!!」

私は彼女の名を呼んだ。しかし、彼女は苦しそうに胸を押さえ、まだ笑う。苦しいはずなのに、まだ笑っている。私を安心させようと。

違う、違うんだ。こんなものが見たかったわけではない。こんなものを見るために、私は―――

「・・・・・・・・・・を救えるのは・・・あなたしか・・・・・ない・・・」
「だからと言って・・・ようなこと・・・は望んでなど・・・!!」
すると、彼女はさらに優しく、慈しむように笑うのだ。

「・・・・・・・・・・・・」

何か小さくつぶやくと。
彼女は小さく、カプセルを、私を抱きしめるように微笑んで。

「――――――――――――っ!!!」

私は彼女の名を叫んだ。
決定的な、ものを見て確信する。
―――彼女は、息絶えた。




―――――――――――――――――――




がばっ!

はーっ・・・はーっ・・・!

な、なんちゅー夢だ・・・。
私は汗だらけのまま、重い身体をおこした。ハッキリ言って目覚めは悪い。
とゆーかあんな夢見て、目覚め良かったら私は自分の神経を疑うぞ。
夢、夢だった。何なんだ、あの後味の悪い夢は・・・。

「あ、おはよう、。朝ご飯できてるよ」

ジーニアスが起こしに来てくれた。そう言えば今日の食事当番はジーニアスだっけ。
・・・料理。私は出来ない訳ではないのだが、レパートリーが少ない。
レシピがあれば大丈夫だろうけど、やっぱ不安だ。

・・・思い出すなぁ。旅を始めた頃に、リフィル先生の料理が食いたいと言っていた事。

・・・・出されたのは焦げた肉でした。いや、焦げたなんて生易しいものではない。炭だ、炭。
これを毎日食べてたらガンになる事、間違いなし!
・・・クラトスはそれを食べて、自分にファーストエイドをかけたほどだし(
そんなにマズかったか)ちなみに私の分は今頃、大地の栄養になっているだろう(←埋めたらしい
以降、リフィルは料理当番から外された。
すいません、まだ死にたくないんです。

「メニューは?」
「サンドイッチとサラダ、食べる?」
「うん」
私はあくびしつつ起き上がった。すでにリフィルとクラトス、そしてコレットはいたがロイドだけはいなかった。
私の方が早かったみたいだな。フッ! 勝った!(何が

「おはよ」
「ええ、おはよう」
「よく眠れた? 
変な夢見たけど、それ以外は全然平気だった。

「うん、で? ロイドは?」
「呼んだか?」
「どぅわっ!?」
背後から声がして、ロイドは姿を見せた。
「ロイド! 背後から忍び寄らないでよ! 心臓に悪いんだよ、もー!」
「わ、悪い・・・」
・・・ん? 何か元気がないなぁ、ロイド。何かあった?

「? どしたの、ロイド?」
「・・・いや、何でもないよ」
それって何かあったって言ってるようなモンなんだけど。
ま、いっか(楽観的)

「次の封印についてなんだけど・・・」
リフィルが全員が朝食を食べ終わるのを確認して、次の目的地について話し始めた。
「バラクラフ王廟の北西って言ったらさー」
私は地図を眺めて言った。

「ルインと・・・あと、ここ。ユウマシ湖。それからマナの守護塔ってヤツくらいだね」
「おそらくマナの守護塔ね」
リフィルがあっさりと結論づける。

「あそこ以外に精霊に封印されていそうな場所はないわ」
そしてパーティーはマナの守護塔へと進路を取った。

ロイドはコレットをいつも以上に気遣っていた。やっぱり昨日のうちに何かあったのだろう。
気にはなったが、追求はしなかった。本人の口からいつか話してくれると思ったからだ。
そして、計三回目のルインへとやって来た。ちょうどここがマナの守護塔に行く中間地点なのだ。
そして、その光景は希望の街の面影は皆無であった。

「これじゃ絶望の街だよ・・・」
ジーニアスが悲惨な状況にもっともな名前をつける。
希望の街改め、絶望の街ルインは大惨事だった。全ての建物は廃墟と化し、破壊されていた。だが流れる水だけは澄み渡り、美しかった。

「誰もいない・・・一体何があったんだろ?」
「魔物の仕業かな?」
「・・・いや、この廃墟は土台から壊されている。人間の仕業と考えるのが妥当だな」
クラトスの言葉に私は考え込んだ。

「まさか、ディザイアンかな?」
「可能性は高いな」
そんな風に町を注意深く調べ、私は噴水へと向かった。

すると。

「ねぇ! お願い、しいなを助けて!」
小さな金色の身体に、何本もの水色の尾を持った狐が駆け寄ってきた。

「うわあ! き、狐が喋った!?」
すると狐(?)はぷんすかと怒った。

「コリン、狐じゃないよ! しいなを助けてあげて! ここに埋まってるの!!」
コリンは噴水の瓦礫を尾っぽでさした。ここに埋まってるだって!?

え!? マジかよ、ロイド、クラトス、助けてあげよう!!」
「本気なの、!?」
弾かれたように驚いた声を上げたのはリフィルだ。私はきっぱりと言い返す。

「何言ってんの! 私は本気と書いてマジなんだから。えっと、コリン。この瓦礫をどかせばいいのね?」
「そうだよ、早くお願い!」
それに私は瓦礫を持ち上げる。お、重い・・・・!

「わたしも手伝う!」
コレットが私と同じく瓦礫を持ち上げる。
「なら決定だな」
私とロイド、そしてコレットといつの間にクラトスが瓦礫をどかすと、傷だらけのしいなが見つかった。

「うっ・・・」
良かった。息はあるようだ。
「しいな! 大丈夫!?」
「コリン・・・? それにあんた達は・・・!」
まぶたを開け、傷だらけの体を動かし身構えるしいな。しかし傷に触るのかよろめいた。

「無理しないで、・・・傷がひどい」
私はリフィルを見た。続いてロイドとコレット、そしてジーニアス。最後にクラトスの視線の束が集まった。

「わかりました、・・・ファーストエイド」
優しい光がしいなを包み、傷を癒した。・・・それでも辛そうではあるが。

「何があったんだ?」
ロイドが聞くと、しいなは沈痛そうに顔をひそめた。
「ディザイアンさ。この街は、ここから北東にあるアスカード牧場のディザイアンに攻め込まれたのサ」
「・・・でも何で?」
「この街は牧場から逃げた連中をかくまったんだ。
 それがバレて、街の人間も牧場に強制的に送られて・・・町は見ての通りサ」

「じゃあ、そのケガは街の人を助けようとして・・・?」
「ハッ、そんな大層なモンじゃないよ。ちょっと・・・ドジっちまったしね」
しいなはジーニアスの言葉に自嘲気味に微笑んだ。痛々しい微笑みだった。

「・・・・・・コレット、どーする?」
私は恐る恐る聞いた。

「・・・なあ、都合がいいと思うんだけど・・・ハイマまであたしを連れてってくれないかい?」
「ハイマ?」
しいなはうなずき。
「ああ、そこに牧場から逃げてきたヤツがいるんだよ。そいつがどうやって逃げたのか聞きたいんだ」
「そうか! それなら少ない危険で侵入できる!」
「なるほど! んじゃハイマに向かおう!いいかな、コレット?」
「うん、みんながそう言うなら」
私とロイドは苦笑して、目的地をハイマに向けた。
リフィルは監視と言う名目でしいなを仲間に迎えた。
この二人の仲は・・・前途多難だよ。ホント。




―――――――――――――――――――




冒険者の集う町ハイマは、町といっても宿しかなくて。町と呼ぶのに本当に値すんの? と聞きたくなるくらい何もない場所だった。まあ見所と言えば崖から救いの塔を一望できるところか。
しいなは牧場からの逃亡者、ピエトロがいるらしい宿で話をつけていた。
私達は外にあるお墓にお祈りをして、待っていた。念のためリフィルも着いていった。

「あ、戻ってきたよ!」
しいなの独特の服装は遠目でも目立つ。
「どうだった?」
「条件付だけど・・・教えてもらったよ」
「条件?」
「マナの守護塔にあるボルトマンの術書の残した治療術でピエトロの呪いを解く。
 塔にはもともと用があったから構わないわね。塔の鍵もついでにもらってきたわ」
それは賛否を求めると言うよりも、有無を言わさぬ響きがあった。

「しいな。わたしも牧場へ行く」
「コレット?」
「だってルインの人はまだ牧場で生きてるんでしょ? このまま、ほおって置くなんてできません!」
コレットが強く言うとリフィルは肩を落とした。慌てたのはしいなだ。

「い、いいのかい? アスカード牧場の長、クヴァルは五聖刃の中でももっとも残忍な男って話だよ」
クヴァルだと・・・!?
クラトスの顔が大きく不快感に染まった。

・・・怒ってる? もしかして。

「どうかしたの、クラトスさん?」
「・・・いや」
ジーニアスはクエスチョンマークを浮かべた。しかし深く追求はしなかった。

「構わないさ。もともとあんなひどい事をした奴らをほおって置くわけには行かないだろ」
うんうん、それでこそロイドだ。

「い、いいのかい? 本当に」
「しいなは心配性だなぁ」
私はくすくすと笑って言った。

「それに、ディザイアンを頬って置けないのはしいなも一緒でしょ?」
「まあ、そうだけど・・・」
「大丈夫だって!しいなは仲間だよ、ねーっ!」
私はしいなの腕をつかんで、コレットに同意を求めた。
「うん、しいなは友達で仲間だよ〜」
「・・・あ、ありがと」
しいなは顔を赤らめて言った。




―――――――――――――――――――




ハイマで一泊し、さらに歩いてアスカード牧場へ向かう。
ピエトロからもらったディザイアンオーブ(
そのまんまやな)でこっそり侵入した。牧場内の雰囲気は、パルマコスタとかなり似てた。

「うへぇ・・・」
ガラスの壁の向こうには、エクスフィアが自動で運ばれてきた。大した数だ。何人分あるって言うんだろ?

「・・・誰か来る!」
コレットが声を潜めて警告した。そして、コレットの言ったとおり誰かがこっちに来た。

あー!!
「お前らは・・・!」
入ってきたのは、あの変態の部下(仮)のボータだ。それからさらに部下数名。箱を持っている。
エクスフィアが入っていたらしいアレだ。

「ディザイアン!!」
「・・・ふっ、小僧。まだ我らをディザイアンだと思っているのか?」
「・・・え?」
じゃあ、こいつらはディザイアンじゃないのか?そーとしか聞き取れないけど。

「いかがしますか、ボータ様」
部下の言葉に、私はなぜかクラトスとボータの間で火花が散った気がした。
「・・・あちらにはクラトスがいる。ここは互いのために退きましょうぞ」
「いいだろう」
即決ですか。

「・・・知り合い?」
「いや、初対面だ」
私の質問によどみなく答えるクラトス。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「本当に?」
「ああ」
アヤシサ大爆発だな、おにーさんよ。慣れつつある自分が怖いわ。

私がクラトスを問い詰めている間に、ボータは去って行った。
「先へ進みましょう」
リフィルに促され、奥へと進んだ。そこにはエクスフィアが運ばれていた。運搬用の機械とエクスフィアの入った容器。

「・・・ここはエクスフィアの製造場所なのね」
「うん、そうみたいだ・・・ね・・・・!?
語尾が跳ね上がった。言葉が続かない。私が見たものを皆も見て、絶句する。
人が、いた。彼らが装置のような物の中に吸い込まれていくと、代わりにエクスフィアの箱が吐き出されていく。

これは・・・!?

「ほう? これはこれは・・・・」
「っ!?」
ばっ!と私達は勢いよく振り向いた。

「レネゲートのボータと思いきや・・・手配書の劣悪種とは」
れねげーと? レモネードじゃなくて(
違う
まあ、それはともかく。
この言い回しはまさしくディザイアンだ。狐のような細い目をした温和そうな男だ。見た目だけは。

「五聖刃の・・・クヴァルか」
忌々しそうに、クラトスにしては珍しく嫌悪を込めて言った。
「なるほど、私のことをご存知のようだ」

「・・・・・・・・・」

な、何だ? クラトスの様子がおかしい。何て言うか・・・こっちが寒気がするくらいに・・・怒ってる?
しかし、そんなクラトスの怒気がわかるのは私だけらしい。クヴァルはロイドのエクスフィアを凝視した。

「やはりそれはエンジェルス計画の物・・・」
そう言ってロイドに近寄るクヴァル。
「答えろ・・・あの人達に何をしているっ!?」

あの人達とは、エクスフィアを吐き出した装置の中に入っていった人達の事だ。
嫌な、予感がする。
・・・私の予感はよく当たるのだ。嫌な予想、当たったかな?

「うすうす気付いているのでは? あれはエクスフィアを取り出しているのですよ」
「なっ・・・!?」
「まさか・・・エクスフィアは人の身体で作られているの!?」
驚愕するリフィルに対し、クヴァルは淡々と答えた。

「いいえ、少し違いますね。エクスフィアは通常では眠っているのですよ。人の養分を吸い取って目覚める。
 ここはエクスフィアのための牧場なんです。・・・でなければ、誰が劣悪種の飼育など・・・」
うわ、こいつムカつく。殴りてぇよ、このジジイ。

「ひどい・・・っ!!」
ジーニアスの一言に、クヴァルは鼻で笑った。

「ひどい? 我々のエクスフィアを盗み使っている君達こそ罰せられるべきでしょう」
そーゆーのを責任転嫁と人は呼ぶ。つーか五聖刃はそれしかできないのか!
クヴァルは言いたい事を言うと、それが合図のようにディザイアンが流れ込んだ。

囲まれた、逃げ場はない。

「ロイド=アーヴィング。君のエクスフィアは我らが偉大なる指導者、ユグドラシル様への捧げもの。
 返してもらいますよ」
ロイドは顔をしかめて、叫んだ。悲痛な一言だった。

「・・・俺の・・・俺のエクスフィアがなんだって言うんだ!?」

「ご存じない? まあ、当然ですか。君が生まれる少し前の事でしたね。
 君のエクスフィアはアンナ=アーヴィングに埋め込んだ物。愚かにも摘出前に脱走し・・・死んだ」
「お前が・・・母さんを!!」
しかしクヴァルは首を横に振った。

「違いますね。彼女は要の紋なしのエクスフィアのせいで、怪物と化した。それを君の父親が殺したのですよ」
クラトスはそのクヴァルの言い分に腹を立てたのか、静かに前へと歩み寄った。

・・・怒ってる。絶ッッッ対怒ってる!
思わず気圧されたよ、私は!!

「・・・死者を愚弄するな」
睨み殺さんばかりの勢いだ。状況が状況でなければ、クラトスはクヴァルに襲い掛かっていたかもしれない。
しかし、彼はその怒りを抑え、ついでにロイドを抑えた。器用だな。
さすがにこれにはカチンときたのか、クヴァルはかすかに震え、後ろのディザイアンに命令する。

「やってしまいなさい」
「くっ!」

絶体絶命か!?

「仕方ないねっ、最後の一枚・・・使わせてもらうよ、おじいちゃん!」
しいなが懐から札を取り出し、風が吹いた。
その風は私達にまとわりついて、そこでぷっつり私の意識は途切れた。




―――――――――――――――――――




気がつくと夜空が広がり、星が瞬いていた。私は頭を押さえ、そのまま起き上がる。

「・・・気がついたかい?」
「・・・あ。しいな」
「無理しない方がいいよ」
「・・・平気だって、みんなは?」
「あっちにいるよ、顔見せてきな」
「ん・・・」
私は目をごしごしとこすり、そこから立ち上がる。
たき火を目印によろよろとした足取りで近寄った。頭がぐらぐらする。

・・・・・・」
当然だが、一同の顔は暗かった。当然か、あんな事があったんだから。

「・・・どーすんの? これから」
暗い雰囲気を吹き飛ばそうに、私は言った。ちらりと横目で、私は手の甲のエクスフィアを見た。
誰かの命を奪って作られたそれを。
「・・・・・・・・・・・・・」
ロイドは顔をひそめ、何も答えなかった。

「見捨てんの? 牧場の人」
するとロイドは勢いよく顔を上げ、私を睨んだ。おう、怖い怖い。挑発に乗ってきたね。私はさらに、鼻で笑う。

「どーせロイドのことだ。エクスフィアを捨てたいとか思ってるんでしょ?」
「・・・・・・・・・」
ロイドは予想通り言葉に詰まった。私はそれを見て、にっこりと笑った。

「甘ったれてんじゃねぇ、この若造が」

懇親の力を込めて必殺チョップ!
たんこぶ出来ました☆ もちろん、笑ってぶちかましましたよ。

「そーゆーのを世間様で何て言うのか知ってる? 負け犬って言うんだよっ!!」

びしっ! と指差し(人を指差してはいけません)私は声を荒げた。

「いいか!? 落ち込んでグダグダ言うのは文句は言わん!
 だけど!こうしてる間にもディザイアンどもに苦しめられている人がいるんだ!
 ロイドのおかーさまもその被害者でしょーが! 悲しむ暇なんて私達にはないはずだ!!
 そんな事してる暇があったら、一人でも多くディザイアンを奈落の底にへと引きずり込み!
 ぶち倒すべきでしょうが!!」
「・・・・・・
弱音を吐くな! 落ち込むな、諦めるな!! そんなんじゃ・・・誰も守れない」

私はロイドに背を向け、目をこすった。
・・・・・・・泣いてなんかいないよ。

「・・・、わかったよ、俺・・・」
「よろしい」
その発言に、私はころりと笑顔になる。
「・・・じゃあ、もう一度牧場へ忍び込むけど・・・」
「あ! あたしも行くよ! 今更知らん顔なんて出来ないからね!」
「ぃよし! そうと決まれば、あの狐目ジジイに一泡吹かせ、ぶちのめしに行くぞ!!」
翌日、私達はアスカード牧場へ向かう。




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