変態を撃破した翌日、私達は石舞台へ行き儀式を見た。リフィルの巫女衣装は恐ろしく似合ってた。
女の私でさえ見惚れるほどだ。もっともクラトスはノーリアクションだったが。
・・・つまんねぇなあ。
リフィルがやがて石舞台で動くのをやめると沈黙が空間を満たした。

・・・何か来るっ!!

そう感じたのはほとんど直感だった。石舞台の円陣が光り、思わず目を瞑る。目を開けると、そこに何かいた。
蝙蝠のような翼に、妙に長い腕。風をまとわせた明らかな魔物である。封印の守護者か?

「先生! それは風の精霊でも・・・封印の守護者でもありません!」
コレットが叫ぶ。
・・・なるほどねっ!そうとなれば話は早いっ!!

よしっ、行ったれロイド!」

「おう! 散沙雨!!」
無数に繰り出された鋭い突きの嵐が魔物を襲う!

「よし、次! ジーニアス、どうぞ!!」

「うん、行くよ! ロックブレイク!!」
石舞台からせり上がった土が、魔物を吹き上げ石塊と化して頭をうちつける!

「魔神剣・双牙!」
ジーニアスの魔術とほぼ入れ替わって、対の衝撃波。クラトスだ。

グォォオッ!!
怒りの咆哮を上げ、魔物は・・・うわ!こっち来た!!

「バリヤー!」
光の壁が優しく私を包んだ。リフィルは私の方を見ると彼女はうなずき、魔物のほうを指差した。私は軽くうなずいて。

ばっ!

大きく跳び、魔物の巨体を踏みつけた!

「エンジェル・フェザー!」
踏んだ衝撃を殺さずに、その光のチャクラムを避けて・・・。

「くらいなさいっ、私の新技・・・飛燕連脚!
飛び上がって蹴り上げ、さらに勢いを殺さずナイフで突き刺す!型は完璧!
何度も隠れてこそこそと練習したのだ。昨日の変態事変のおかげで威力もやり方も大分つかめた。
この場でお礼を言おう、名前も知らない変態さん!!

そして魔物は立て続けの攻撃を受けて硬直した。

「クラトスッ、今だ!!」
「!?」
意外にもロイドが大声を上げてクラトスを呼んだ。

「はあっ!」
気合一閃。銀行が交差したかと思うと魔物は倒され、そのまま消え失せた。

「何か落ちたよ」
魔物の身体の一部かと思ったが、どーやら違うようだ。石版?

「これは! 古代バラクラフ文字で書かれている!」

触ろうとして横からリフィルにひったくられた。遺跡モードに入っちゃってる・・・。
「本当ですか!? でしたら家で調べましょう、いくつか資料があります」
「ああ、行こう!」
リフィルとライナー二人は勝手に盛り上がって、行ってしまった。

・・・何だかなぁ。

「あ、あの・・・ありがとうございました」
アイーシャは呆気に取られつつもお礼を言った。
・・・あ、そーだ。今思い出した。

「あ、そーそー。ハーレイ。これ、あんたの?」
私はごそごそとポケットからイヤリングを取り出した。前に拾ったアレだ。
それを見てハーレイはおや、と言いたげな顔になる。

「ん? ああ、そうだよ。巫女の衣装の一つで村長に頼まれたもんなんだが・・・もう終わっちまったからな」
「あー、じゃあ昨日渡せば良かったな」
「いいよ、もう。欲しけりゃやるよ」
「え、いいの?」

それにハーレイはからからと笑って。
「いいって、あんたは悪いヤツじゃないからな」
「・・・・・・・ありがと」
私は少しはにかんだ笑みを浮かべてお礼を言った。

「・・・でもあの魔物なんだったんだ?」
「姉さんとライナーさんが調べてくれるよ」
「そうだな」
ジーニアスの言葉にハーレイがうなずく。

「あのリフィルって人、ハーフエルフみたいだし、知識は確かだろう」
は? はーふえるふ?
リフィルはエルフじゃなかったっけ?ジーニアスも。

ち、違います! ボクも姉さんもエルフですよ!!」
今までになく必死な口調でジーニアスは言った。

「は? 何言ってるんだ、このオレが同族を間違えるなんて・・・・」
ジーニアスは私に、いや私達に背を向けてハーレイを見た。ハーレイもジーニアスを見てちょっと驚いたような、何とも言えない表情をして、笑った。

「・・・ああ、違ったな。オレと違ってあんた達は生粋のエルフみたいだ。悪かったな」
ハーレイの言葉にジーニアスはいからせら肩を落とした。

・・・・・・どーゆー意味だ?

「・・・ま、いいか」
私は簡単に結論づけ、宿へ戻った。




―――――――――――――――――――




「はあっ! つ、疲れたあ〜」
ベッドに一気にダイビング、倒れこむ。
「おつかれさま、
にこにことコレットがベッドの横で笑う。

「昨日の夜に変態と戦った疲れが取れてないのかなぁ?」
ちなみに。
前回・・・もとい昨日の夜に激しい戦いの後、変態はサンダーブレードをぶっ放し、駆けつけた街の人々の手によって袋叩きにした。なんでもサンダーブレードの音で、子供が目を覚まして大変だったとか。
まあ、ともかく。大騒ぎになったのだ。今度からは気をつけよう。

「あれ? クラトスとロイドは?」
「何かやる事があるって」
「やる事?」
「うん」
・・・ヤる事(←お好きな漢字変換を入れてください)

その時、私の脳裏にあの二人が「ロイド・・・始めて見た時から・・・私は・・・!」「ダメ、クラトス・・・ダメだよ・・・!俺達、仲間だろ・・・?」そしてクラトスの手はロイドの腰元に(以下自主規制

・・・ときめきますね、お姉さん!!誰だ

少なくとも! あの変態よりかは、よっぽど萌える!!(←誤字ではあらず)
腐った乙女の私としては、そのヤる事とやらに興味がある。見てやる、つか、むしろのぞ・・・いや眺めよう。

「じゃ、私は暇をつぶしてくるね」
「うん、いってらっしゃーい」
不純な思いを胸に(オイ)私はクラトスとロイドを探した。




―――――――――――――――――――




「やあ! はあっ!!」
「腰が甘い。まだ隙がある」
・・・・・・・・・。
二人はアッサリと見つかった。目撃者がいたし、あのクラトスのごきぶ
・・・じゃなくてツバメマントは良く目立つ。
さて、一体何をしているのか。簡単なことだ、剣術指南をしている。
厳しくロイドの弱点を教えるクラトスと、一生懸命なロイドの姿はまさしく兄弟。
いや、親子でも通用するか、このコンビ。

しかし・・・もう少し・・・ねえ?(何だ)

「・・・そこにいつまでいるつもりだ?」
!?
「気付いていないと思ったか? 気配も消さずに近づけば、普通は気付く」
気付きません。普通の人は(一般論

「・・・ったく。普通の人とあんたを一緒にしてたのが、そもそもの間違いだね」
「・・・・・・・・・」
がさりと私は草陰から立ち上がる。

? どーしたんだ?」
「いや別に。ただ見学してただけ」
私はおどけて肩をすくめた。

もやってくか?」
「そうだねぇ〜・・・」
私は思案するかのようにあごに手を当て、クラトスを見た。
トリエットから一応剣術指南を頼んだが、最近は構って・・・つーか教えてくれなかった。
なのにロイドには教えている、ふむ、これは一体どーゆーことだね、クラトスくん。
そんな視線を送ってみるが、クラトスの表情に変化はない。
私はちょっと邪悪なオーラを込めて言う(待て

「じゃあ、お願いしますね。クラトス」
「・・・好きにしろ」
「うん、好きにする」
クラトスのため息混じりな言葉に、私はしゃあしゃあと言い返した。




―――――――――――――――――――




「へへっ!」
「どしたの、ロイド?」
「いや、ちょっとうれしくてさ」
「何がぁ?」
「俺、兄弟いないだろ? 養子だし、だから兄弟とかに憧れてたんだ」
なるほど。ま、ジーニアスとリフィルのこともあるしね。

「・・・そうか」
クラトスはなぜかこっちに背を向けて言った。
・・・照れてるな?

「でもクラトスって兄貴って言うより親父みたいだな!」
ぶっ!!
思わず吹き出しました。お、親父・・・確かにけっこー年くってそうだけど(
さりげにひでぇ

そ、そうか・・・
あ、傷ついた? 冷汗出てるし。

「でもさー、クラトスっていくつだっけ?」
「・・・28だ」
意外と素直におっしゃいましたね。

「あ、そーなの? その年なら子供がいてもおかしくないよね」
「あ、そーだな」
「意外と子煩悩だと思うんだよ、私的に!」
手を振り上げて力説する私。
「娘が生まれたら「将来、お父さんのお嫁さんになるー」とか言われて、内心、すっごい喜ぶのよ。
 息子の場合は剣術教えたり、キャッチボールしたり」
「・・・後半はわかるけど、前半言ったほうが想像できないな、俺」
「そう? 私はがしがしと想像できましたよ」
経験の差か・・・(
何の経験だよ

「くだらない事を言っている場合か?」
クラトスの鋭いトゲトゲとした視線が送られる。あ、怒った?
「はいはーい、私語は禁止ですね、クラトス師匠」
「・・・・・・・・・」
いや、つっこめよ!!
寂しいだろ、
私が!!




―――――――――――――――――――




翌朝になっても先生は帰ってこなかった。
迎えに行って石版の文字を解読した結果、あの魔物は風の精霊を使役していた召喚士が封印。
時と共に精霊は魔物と混合され、後にこんな事が起こらないようにこの地図と一緒に安置した・・・というワケだ。
風の精霊がいるのはバラクラフ王廟。まあ、ピラミッドみたいなものと言えばわかりやすい。
距離はかなりあった。途中、希望の町ルインで装備を整える。今回の調達班は・・・。

「えーと、ロイド。ライフボトルはまだあったよね?回復系アイテムはOKだけど食料がやばいんだっけ?」
「ああ、えーと。タマネギにキャベツ、レタス・・・あ、トマト。、トマトは買わなくていいからな」
「何勝手な事言ってんの。そんなんだと大きくなれないって」
そんな会話をしてるのは私とロイド。
・・・・ええ、ジャンケンで負けました。弱いんです、あううっ!

「しっかし・・・ルイン、か。いいとこだよねー、相変わらず」
「ああ、そうだよな」
希望の町ルイン。確かにその名に相応しく、この町は穏やかで美しい。イセリアのように空気が澄んでいて、大きな湖の上にある街で三本の橋で陸とつながれている。
クラトスは一度ここに来たらしく、ちょっと懐かしそうに語っていたのを思い出す。
私は今まで訪れた町の中で一番ここが好きだと思う。
きれいだし、ディザイアンの影響も少ない。それに人々の顔がとても穏やかで、見ているこっちも穏やかになる。

「あ、あっちに噴水があるってさ。行ってみよ」
「あ、オイ、ー」
噴水へと向かい、それを追いかけるロイド。

「じゃあ、こんどはあたしがオニだよ。よーい・・・どんっ!」
・・・・・・・・・あり?
噴水の周りには子供数名と、コレットの命を狙った暗殺者、しいな。
笑顔で子供と遊ぶ姿はまさしく普通の女の子。
笑うとかわいいんだよなぁ、なんて思ってみたり。

「へぇ・・・」
ロイドが感心したように、しいなを見た。

「!! お前らは・・・っ!!」
「あ、どうもー」
にへらーと全然緊張感の無い笑顔を浮かべてみせる。しかししいなは警戒したままだ。
ロイドも少し雰囲気を和らげる。それに驚くしいな。

「な、何だい!?」
「意外といい奴なんだな、お前」
と笑顔でロイドは言った。

・・・・・っ!?
ものすごくショック(びっくりしたって意味で)を受けて、しいなは顔を赤くしたり青くしたりした。
何てゆーかわかりやすい。

「ふ、ふんっ! 褒めても神子は狙うからなっ!!」
しいなはちょっと照れたように顔を赤くしながら木の葉と共に去って行った。忍者だ忍者。

「・・・しかーしロイドー。あのセリフは殺し文句だねーやるねーこのこのー」
「は? 殺し? 俺、そんなひどい事言ったか?」
「・・・・・・あ、いえ、そーではなくて。・・・・・や、何でもない」

・・・天然だっ!
メチャクチャ貴重な天然ものだっ、ロイド=アーヴィング!
素で女性を口説くとは・・・・
やるな何がだ
天然女性キラーの称号を与えよう(いらねえって




―――――――――――――――――――




バラクラフ王廟。
ルインから歩いてもかなりの距離がある。五日はかかった。
魔物や野盗に襲われたが、私達はそれを全て返り討ち。
クラトスの言う通りロイドもジーニアスも、そしてリフィルやコレットも腕を上げた。私も動きが早くなったし、力がついた。地を這う持久力も少し上がった。エクスフィアのおかげだと思う。感謝しないとなぁ。

そして王廟は暗かった。

・・・いや、明るいお墓もどうかと思うが。
トラップがいくつかあった。地面から針が生えるのと、真横から突き出してくるタイプの二通り。
リフィルが壁の石版に異常なまでの興味を示したが、封印の方が先決とのことで、ものすごく残念そうなリフィルをよそに先に進んだ。
そして第三の封印をとき毎度おなじみレミエルが降臨した。
しっかし段々とありがたみのよーなものが薄れていく気がする。

「よくぞここまでたどり着いた。神子コレットよ、クルシスからそなたに天使の力を授けよう」
するとレミエルから光が差し込み、コレットの身体に吸い込まれた。それを見届けると、レミエルは続けた。

「次の封印はここより北西。・・・コレットよ」
「・・・・・・はい?」
恐る恐るコレットは顔を上げた。まさか、まだパルマコスタの一件を根に持っているのだろうか、この天使わ。

「旅の終焉は近い。早く天使になるのだ、良いな?」
そう言うとレミエルは光と共に消えた。おかしいな「次の封印で待っているぞ、我が最愛の娘コレットよ」がない。
・・・言っちゃあ悪いんだけど
うさんくさいんだよなぁ・・・。ただの私の好き嫌いかもしれないけど。

「コレット、もう少しで本当の天使になるんだよね」
「そうだねー」
コレットがのんきに言う。緊張感がないなあ。他人のこと私も言えないけど。

「ま、先に進むしかないよね。もう少しみたいだからがんばろ」
楽観的に言って慰める。先の見えないフルマラソン。けっこーツラいものがある。

「とにかく外に出よ」
「待て!!」
私の声をかき消して、登場したのは一人の女性。

「この声って・・・」
顔をしかめるジーニアスとリフィル。コレットだけは妙に嬉しそうだ。・・・彼女である。

「あれ? ノイシュはどうしたんだ? 外で見張っているように言ったのに」
それに暗殺者しいなはお札を構えて。
「あの獣ならコリンと外で睨みあっているよ。・・・今日という今日はお前達を・・・殺す!」
それに私は断固と否定するように胸を張る。

「冗談っ! 私は死ぬ時は布団で大往生って決めてるの!!」
「そーゆー問題じゃないでしょ、・・・」
呆れるジーニアス。
気にするな。深い意味はないからさ。

「またお会いしましたねー」
コレットが嬉しそうに無防備に近づく。
動くな! 喋るな! 壁に触れるな!!」
オサ山道での事を思い出したのか、しいなは声を荒げた。
鉱道でロクな目に会わなかったのだろう、ものすごく慌ててる。

「あたしは・・・お前達を殺す!覚悟!!」
しいなは身体を前に倒すように走る!

「みんなのために・・・!」
みんな? みんなって誰だ?
耳に入ったその言葉に眉をひそめたが、しいなは札を取り出した。

「式紙、蒼風! 紅雷!」
札が宙を舞うと、まるで百鬼夜行にでも登場しそうな、牛車の車輪を背負った細身の鋭い爪を持った妖怪変化が現れた。

「あー! もう! 人の話は聞こうよ、おねーさん!」
私がそうぼやくと、ロイドは妖怪変化――身体が赤いので、これが紅雷――に向かって走る。

「瞬迅剣!」
ロイドの二刀から繰り出される鋭い突き!

「ルーンスティア!」
コレットのチャクラムが飛翔する!
「させないよ!」
しいなが距離を一気に詰めて、こちらに走る!

「燃えちゃえ、イラプション!!」
かつんっ、と剣玉の音がして、椎名の足元に溶岩が吹き出る。
しいなは顔を守るように両腕をクロスし、バックステップで下がった。

「魔神剣!」
「――――っ!!」
横から放たれた衝撃波をしいなはさらに大きく跳躍して避ける。だが!

ずざあっ!

今まで無視されていた蒼風が紙切れと化して消えた!
「光よ、フォトン!」
光が、紅雷を包み込む!

「裂空斬!」
大きく回転するように斬りつけ、紅雷は蒼風と同じように紙切れとなった。
残る敵はしいなだけだ。

「この勝負・・・、火を見るより明らかだったね」
「・・・は何もしてないじゃん」
「そうだよなー」
そんな事をほざきやがるロイドとジーニアスに、私は笑顔で。
五月蝿い、黙りやがれ♪」
・・・・・・はい
「ご、ごめんなさい・・・」
よろしい。

「くそ! 何で勝てないんだ!?」
「そんなの決まってるじゃん! 正義と愛は必ず勝つ!」
拳を突き上げて高々に言うジーニアス。何だかなぁ・・・。

「・・・何が正義だ」
押し殺したような声。しいなは怒りをたたえた目でこちらを睨んだ。私はぎょっとなった。しいなが、今にも泣いてしまいそうだと思ったからだ。

「お前達が正義なら、あたし達だって正義だ!」
・・・あたし達?まだ仲間がいるのか?

「ど、どーゆー意味?」
「そうだよ! コレットが世界を再生させると、みんなが助かるんでしょ?」
その通りだ。しかし、彼女の言い分はまるで―――

「助かるさ! この世界はね! そしてあたしの国は滅びるんだ!!」
「えっ!?」
そう言い残すとしいなは踵を返して、去って行った。

「変なヤツだな」
「そうだね。国って制度は、とっくの昔になくなってるのに」
「・・・・・・・・・」
ロイドとジーニアスの会話をよそに、クラトスはじっとしいなの去って行った方向を見ていた。

「あの娘・・・まさか・・・」
「どうかした?クラトス」
「・・・何でもない」
クラトスは首を横に振り、私たちは王廟から出た。




―――――――――――――――――――




そして、また来ました。天使疾患。いい加減やめて欲しいんですけど、コレ。
「・・・はあっ」
「ため息をつくとは、らしくないな」
「・・・どーゆー意味かな?クラトス」
後ろにはクラトスがいた。最近、背後からの気配は察知できつつある。うむ、これも修行のタマモノだ。

「・・・何かあったのか?」
「う? ううん・・・」
私は頭をぽりぽりとかいた。

「まあ、色々あったなぁって思ってるの」
「・・・・・・・・・」
「世界再生の旅して、故郷を探してるけどさ。手がかり、何もないなぁって思って」
「・・・そうだな」

お忘れの方もいるかもしれないが、私は異世界人なのだ。もちろん、この事はみんなに言ってない。
混乱させるし、変に思われるから。そして手がかりは皆無。

でも。

「でもそれ以上に色々あったなぁ、って」
本当に色々あった。
・・・村を追い出されて、捕まって、変態に遭遇し、追跡され(ストーキングとも言う)、裏切られ、罵られて。
それでも、それでもここまで来て。

「クラトスー」
「・・・何だ?」
「・・・私、強くなったかな?」
別に答えが返ってくるのを期待していたわけではない。
ただ、聞いて欲しかった。
クラトスはフッと笑った。

「・・・ああ、そうだな」
「・・・! ・・・えへへ」
私は笑った。

「やぱクラトスってお父さんみたいだよ、ウン」
「・・・・・・・・・」
「あ、怒った?」
「・・・・・・怒ってない」
「ぷっ! ククク・・・やっぱクラトスってオヤジだ」
「・・・・・・・・・」
・・・どーやら本気で怒ったようだ。

「スねないでよ、クラトス師匠!」
私は、笑いながら言った。


ロイドは「天然口説きキラー」に称号を手に入れた!!
「真顔でサラッと言うのがポイント高いのよね
あと、無意識に言ってるのが強い!(BY )」



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