ずきずきと、足が痛い。
別に大したことのない痛みだが、どうやら右足首をひねったらしい。痛い。
もっと大怪我を負ったことはある。意識のあるまま、腎臓やら肝臓やらを抉り出されそうになったことや、体内に口では言えないような場所から寄生虫を宿された事だってある。
悲しいのは、それが血の繋がった実弟によって行われたことだ。
痛いのは嫌いだ。好きなやつなんていないだろうが、俺は特にそういうことが嫌いな種類に分類されるのだ。
赤くはれ上がった足首。大人しくしておけば、明日にでも治るだろう。
「兄貴」
「何だ」
不意にかけられた声は聞きなれたものだ。どうしてここにいるのか、いつからいたのか、そう聞くことは無駄だ。
「足に怪我してる?」
「・・・何で知ってるんだ」
どうせ、俺が足をひねった現場でも見たのだろう。気だるげに振り返ると、ザエルアポロは黙って自分の足首を指差す。
「僕も痛いんだよ、右の足首あたりが」
それに俺は目を丸くした。俺の怪我をした場所とまったく同じ場所だ。
俺はため息をついた。
「ザエルアポロ」
「何、兄貴?」
「共鳴してんのか?」
それにザエルアポロは皮肉げに笑う。
「さあ、どうだろ。兄弟だからね」


答えになってない答え
でも、それでいい

響く骨の音は、
つながりの証




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